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精進が足らんよ

道場に響く気迫の声。竹刀の打ち合う音。踏み込みの足音。それらは私(越嶌理沙)には心地よい音楽のようだ。顧問の先生の「止め!」という声と共に一斉に静まり返る瞬間も好きだ。最後に地稽古を行う。お互いに何を打つかを決めない、試合のような形式で行う...
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降車ボタンを押すモノ

俺(水瀬優弥)が、高校一年生のときの出来事。その最終バスに乗ったのは、交通事故に遭って入院している母方の叔父の見舞いに、秋の連休を利用して行った帰りだった。本当は妹の優香も行くはずだったのだが、急に所属している軽音楽部から集合がかかり、俺一...
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お部屋の隅のお婆ちゃん

(だれだろう? あれ)幼稚園のお部屋の隅にいつもいる。朝からおうちに帰るまで、ずっと立っている。もやもやと白い煙に包まれたお婆ちゃん。先生に「あのお婆ちゃんだれ?」と訊いても「なにを言ってるの?」と首を傾げる。ほかのお友達に訊いても「なんの...
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理解不能で問題なし

高校一年の夏休みの出来事だ。俺(水瀬優弥)は読書が好きだった。ネット通販は便利だが、実店舗で本を手に取って興味のある内容を選んだり、新たな分野を開拓するほうがワクワクする。八月に入ってすぐに自宅から徒歩で二十分ほど離れた場所に、大型書店が新...
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針の山

私(水瀬優香)は、学校の帰り道によく寄り道をする。所属している軽音学部員や親友の佳奈と、ドーナツショップやスタンドカフェで長々とおしゃべりしたり街で買い物をしたり。今日は軽音楽部の練習は休みで、時間に余裕があった。たまにはひとり気ままに過ご...
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夕闇に消えた友達

私の祖父から聞いた話。昭和40年代、小学校低学年だった祖父の家の周囲には、空き地やら雑木林がたくさん点在していた。そのなかでもすこし大きめの雑木林には、ある噂があった。昭和初期の頃、そこで女性が自ら命を絶った。それ以来、女性の霊が雑木林内を...
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姉の声

私が小学4年生の時の話。両親が田舎の法事に出席するので、当時高校生の姉・優子が夕食を作る事になった。夕方、居間でテレビを見ていると、庭から、ザク、ザク──と、玉砂利を踏む足音がし、「優子だよ、開けて」と、姉の声がした。見ていたのは私の大好き...
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最終バス

私が数年前まで自動車工場勤務をしていました。ある日、トラブルが重なって対応に追われ、ずいぶん遅くまで残業しました。作業を終えて、職場を出たのは夜11時を過ぎていました。最寄りのバス停留所から乗ったのは最終便のバスで、乗客は私のほかには三人い...
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次は目の前に

友人のA子から聞いた話です。A子は大学時代、付き合っていた彼氏と沖縄旅行に行きました。ただ、彼女の彼への気持ちは冷め切っており、旅行が終わったら別れるつもりだったと言います。ある観光地で、ふと視線を感じて振り向くと、坊主頭で日に焼けた褐色の...
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異界からの脱出

俺の通う高校では10月末に二日間にわたり文化祭がある。一日目は学内公開、二日目が一般公開という流れだ。我がクラスはこの地域一帯の歴史館というあまり集客の見込めない展示を開催していた。二日目の一般公開になぜか妹が「ぜひ行きたい」と言い出した。...