オカルト

オリジナルストーリー

飛翔する魔

『それ』の噂が囁かれ始めたのは私が小学三年生になって間もないときだった。薄暗くなった帰り道を一人で歩いていると、頭上数メートル上の後方を飛行しながら後を尾けてくるものがある。姿は小鳥のようで、スズメより大きく鳩より小さい。羽ばたいているのだ...
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戻ってきたクラスメイト

夏休みが終わる季節にいつも思い出す出来事がある。 あれは小学校四年生のときだ。小林くんといって、運動ができて明るく、クラスでムードメーカー的な存在だった。その彼が一学期終了とともに転校することになった。終業式にクラスでお別れ会をして、特に仲...
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天井裏から愛を込めて

部屋のドアがガチャリと開く。僕は息を潜めて、入ってきた部屋の主を眺めた。白いブラウスがとてもよく似合っている。彼女はひと息ついてからドレッサーに座った。なにかいいことでもあったのだろうか、鏡に映った愛らしい唇には笑みが刻まれている。化粧を落...
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再訪

ふと目が覚めた。薄暗い天井を見てどきりとする。ああ、そういえば寝てたんだっけと思い出す。 お昼ご飯を食べた後。数学の公式集をパラパラと捲っていたのだけど、眠くてどうしようもなかったので、ちょっとだけ仮眠するつもりでベッドに横になったのだった...
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レイヤー

高校二年の夏休みも残り少なくなったある日。俺は西日本の中心都市にいた。 小学生のころからずっと仲のいい昌隆という友人がいた。昌隆は親の仕事の都合で中学二年のとき、引っ越していった。それでも付き合いは続いており、たまに連絡を取り合っていて、『...
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オールシーズン

中学二年の夏休み。友人の佳奈と映画を観にいった、その帰り。ちょっとお腹空いたねということで、ファストフード店に入った。 「怖かったねー」「うん、そうだね」観にいったのは、話題になっていた邦画ホラーだった。「主人公が廃屋に隠れてたとき、呪文が...
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少年と鴉

高校三年の夏休みも後半。所属していた剣道部は夏の大会を最後に引退した。試合結果は少し残念だったけど、全力を出し尽くしたので悔いはない。あとは大学受験に向けて精励恪勤するだけだ。 予備校の帰り。自習室で最終まで粘ったのでずいぶん遅くなってしま...
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黄泉比良坂(よもつひらさか)

高校二年の夏休み。俺は所属している剣道部の夏季合宿に参加していた。宿泊所は郊外のひなびた町にある神社の宿坊で道場も併設されている。宿坊は小高い山の上にあり、周囲は町に囲まれているのだが、西の方角は雑木林が広がり、川が横たわっている地形だ。な...
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霊視者たちの戦慄

高校二年のゴールデンウィーク明け。そろそろ中間試験も近づいてきているので、ぼちぼち勉強しなきゃな、と思いつつ、ノートPCで動画サイトを眺めていると。「お兄ちゃん、ちょっといい?」「あー、いいよ」妹の優香が部屋へ入ってくる。「お、ちょうどいい...
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月下の道しるべ

中学二年になって間もないある日の下校中。家の近所の住宅街に入ってしばらく歩いた十字路の真ん中に、幼稚園くらいの男の子が立っていた。見てすぐにわかった、(この子、生きた人間じゃない)と。私は幼いころから、この世のものでない存在を視たり感じたり...