私が小学4年生の時の話の話です。
その日は宿題が多く、夕ご飯の後も引き続き、自室で机に向かっていました。
満腹のためか睡魔が襲ってきて、いつの間にかウトウトしていたのです。
私は夢の中でも宿題をしていました、ただし学校の教室、授業中です。
早くやらなきゃ、早くやらなきゃとあせっていると、
先生に見つかってしまい、
「こら、なんでいまごろ宿題をやっているの?」
と注意され、
「ごめんなさい!」
と、言ったところで、体をビクッと震わせながら目が覚めた。
その拍子に、肘に消しゴムが当たって落としてしまいました。
(拾わなきゃ)
そう思ったとき、女の子の声で、
「落ちたよ」
と、後ろから誰かの手が伸びてきて、消しゴムを机に置いてくれたのです。
「ああ、ありがとう……」
と言いかけて、
(え? さっき学校にいたのは夢で、本当は自分の部屋にいるはず……)
と気づきました。
もちろん、振り返っても背後には誰もいません。
寝ぼけていた、といえばそれまでですが、
透き通るような白い手と真っ赤な長袖の服が、今もはっきりと鮮やかに目に焼き付いているのです。