オカルト

オリジナルストーリー

『視える』ということ

(全くついていない……)俺はため息をついてソファに寝転がったまま、ベランダのサッシ越しに空を見上げた。清々しいほどの青空が広がっていて、刷毛ではいたような薄い雲が浮かんでいる。ちょっと体の位置を変えようとして――腰に走る痛みに顔をしかめた。...
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また、いつかね

誰にでも人生の中で『忘れられない人』が必ず、ひとりやふたりはいるものだ。その人のことを思うとき、懐かしかったり、楽しかったり、そして悲しかったりと、いろんな感情が呼び起こされるだろう。いまから僕の『忘れられない人』の話をしようと思う。 僕は...
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エレベーターの女

数年前に体験した話だ。その頃、付き合っていた彼女は稼ぎがわりと良く、二十代の独身女性にしては、結構いいマンションに一人暮らしをしていた。週末は、よく彼女の部屋で過ごしており、その日も土産のワインを片手に向かった。少し仕事が立て込んで残業した...